カン

入門編も終盤に差し掛かってきたので「カン」について伝授する。

ひと通り麻雀を覚えるってのは、けっこうめんどくさいんだな。

う~ん、それは否定はせんけど、ここまででだいたいプレーできるようになっとる。もう1つだけ教えてなかったのが「カン」なので補足しよう。名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれん。人気になったアニメと漫画「咲-Saki」の主人公、宮永咲の必殺技みたいな感じで注目度も高いかもしれん。漢字で書けば「槓」になる。

ポンは覚えているかな?

自分が2枚同じ牌を持っている時に、誰かが捨てた3枚目を拾って自分のものにしてしまうことよね。

こういう時に誰かが捨てたとかをもらっちゃう。

麻雀は3枚1組のグループが4つ必要ですから、相手の牌を拾って1グループを完成させてしまえば、完成までのスピードが速くなるメリットがあるんでしたよね。

カンも似ているんじゃよ。カンは自分で3枚持っている時に、誰かが捨てた4枚目の牌を拾って1グループにしてしまう。もしくは自分でさらに1枚加えて1グループにする。

上の場合じゃと3枚持っているをカンすることができる。

と完成しているグループにさらにを加える。

で1つのグループとして見なすことができるんじゃよ。

3枚1組でも、4枚1組でも「1つのグループ」に変わりないならば、別に無理してカンをする必要ないんじゃないですか?

そう、それが重要じゃよ。3枚でも4枚でも同じ1組じゃから「カン」は無理にする必要はないという点が重要じゃ。別にやってもやらなくてもいいんじゃ。やらないとあがれないルールではない。

カンをするメリットは、カンをするとドラが増えるんじゃな。カンをすると、普通のドラの横の牌が1枚ぺろーんとめくれて、ドラが増える。この「カンをするとドラが増える(カンドラの登場)」が特徴じゃろう。

ドラが増えるのは点数がアップする可能性があるのでチャンスですね。

ところがそうでもない。ドラが増えて有利になるのは自分だけではなく全員なんじゃな。タイミングを間違えば、ただ相手を有利にしてしまうだけの大失敗を引き起こしかねない。自分の点数があがる可能性もあるが、相手の点数をあげてしまう可能性もある点で諸刃の剣といえるじゃろう。

カンは大きく別けて2種類ある。

分類のポイントは「相手から1枚牌をもらった4枚1組(カン)か? 自力で集めた4枚1組(カン)か?」でわけて考えよう。




大明槓(ダイミンカン)

まずは「大明槓(ダイミンカン)」と呼ばれるカンになる。

自分が3枚を持っている状態で、誰かが捨てた最後の1枚を「カン」と宣言してもらってしまう。これが「大明槓(ダイミンカン)」じゃな。

まず自分が同じ牌を3枚持ってないと大明槓(ダイミンカン)はできないのねー。

小明槓(ショウミンカン)

それから、もう1つのカンは自分がポンをしている状態が前提になる。こっちは「大明槓(ダイミンカン)」に対して「小明槓(ショウミンカン)」と呼ばれておる。

この状態で、自分の順番の時に最後のを引いてきた。ここで「カン」と宣言することができる。後から付け加えるようにカンを宣言するので「加槓/カカン」とも言われるわな。

大明槓と小明槓(または加槓)を2つ合わせて「明槓(ミンカン)」と呼ぶ。2つに共通しているのは「相手の牌を1枚もらったカン」という部分じゃな。

相手の牌をもらっているということで、結果的にリーチもできない。1ハンの役の多くが消滅してしまったり、3ハンの役が2ハンに格下げされる「食い下がり」も適用される。扱いは「ポン」「チー」したのと同じで、メンゼンの状態ではなくなるんじゃな。

まあ、小明槓の場合は先にポンしてしまっている時点でリーチなんかはできなくなってるけどな。

暗槓(アンカン)

もう1つのカンが「暗槓(アンカン)」と呼ばれるものじゃ。これは簡単にいえば4枚全部を自力で集めたカンじゃな。誰からも牌をもらわないカンになる。こっちはリーチもできるし、食い下がりもない。

この状態の時に、自分の順番でを引いてくる。その時に「カン」と宣言するんじゃな。結果的に誰からも1枚も牌をもらっていないじゃろう。だから暗槓はリーチもできる。

暗槓は区別してわかりやすいように両サイドの牌を裏返しにするんじゃな。

4枚しかない同じ牌のすべてを自分で集めるという意味ではけっこう難しい行為じゃよ。


自分がポンしている状態の時に、誰かが捨てた最後の1枚をもらうことはできないのかしら?

それはできんよ。ポンをしてる段階で相手から1枚もらっておるし、カンした時にもらえば合計2枚もらっていることになる。明槓でももらえるのは1枚までじゃから、そのケースは無理なんじゃな。

カンをやる場合の注意点とかってありますか? 別にやらなくてもいいんですよね。

前回「ドラ」について教えたが、カンをすると「槓の裏ドラ(カンウラ)」まで登場することになる。誰が有利になるかといえば「リーチをしている人」じゃな。「普通のドラ」「裏ドラ」「カンドラ」「カンの裏ドラ」と4つのドラを見る権利が生まれる。

ゲーム中に誰かがリーチをしている。自分は今回はあがれそうにない。こんな状態でカンをして喜ぶのはリーチしている相手だけじゃろう。こういうカンは、やらない方がマシじゃな。

特に一番最初に説明した「大明槓」は初心者の人は本当に意味があるのかよく考えてくれ。やらなくてもいいカンじゃし、確かにドラは増えるかもしれん。その代わりに、リーチはできなくなる、食い下がりは適用される、結果的に自分の点数が下がる、相手が有利になる可能性がある、などデメリットの方が明らかに大きいケースが多いんじゃな。ドラ増やして自分の点数を上げようとするカンじゃが、逆に点数下がる方向に向かっておるかもしれん。

必要のないカン

状況をよく見てカンしろってことだな。他に注意することはあるのか?

4枚あれば確かにカンは宣言できる。ただし下の場合はどうじゃろう。

 

この時に誰かがを捨てたり、自分で引いてくれば「カン」をすることは可能じゃな。ただし、カンをすると以下の部分が残されるわけじゃ。

     カン! 

残ったはどうするの? という感じになるじゃろう。せっかく完成したいたグループも崩れる。

は待ってても永遠に完成しないわね…

逆にいえば誰かがカンをした時は、何をカンされたのか絶対に確認しておくれよ。麻雀は同じ牌が4枚しかない。カンが宣言されることは、何かの牌すべてが卓には存在しないことになる。待っていても永遠にでないんじゃな。

と持っていて、が欲しいな~と思っていたら誰かがをカンをした。するとこの待ちではどうあってもあがれないわけじゃよ。方向性を切り替えないといかん。

カンは「諸刃の剣」みたいな意味がある。場合によっては、本当に人を助けるだけにしかならんこともあるからなぁ。このへんをわかった上で、カンするといいじゃろう。もう少し戦略的にカンを学びたい人は、あとで麻雀戦術講座「カンの戦略」を見てみるといいじゃろう。

さあ、入門編も次で最後じゃから、もうひとふんばりしようかぇ。


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