オカルト麻雀
たまに「デジタル麻雀」「オカルト麻雀」って言葉を聞くんですが、これってどういうことなんですか?
ああ、それね。昭和の頃に比べて、特にネット上では「オカルト麻雀」はかなり減ったとは思うが、今でもよく議論されているわな。
麻雀に対する根本的な姿勢として「オカルト」「デジタル」と分類されたりする。また別に「アナログ」などの言葉もあるんじゃが、ちょっと横に置いておく。今回はオカルト麻雀について話そう。
オカルトって運の流れとか、勢いとかを重視するような考えですよね?
一般的にオカルトといえば魔術や幽霊など目に見えない非科学的なものを指す場合が多い。麻雀では「ツキ(運)を使う」「ツキ(運)の流れ」「引きの強さ」「牌の勢い」などの言葉で語られることが多いわな。
あがりだすと連続であがって止まらなくなるやつですよね。
そういう意味で「良い流れが来ている」「ツキが巡ってきている」と表現するケースもある。うっかりミスで相手に振り込んでしまって「流れをとめてしまった」とかいう風に表現される場合もある。前回の結果が、何らかの形で次の局に影響を与えたりするのが「流れ」の考え方じゃな。
牌の勢いってのが何を意味するのかは難しいが、例えば欲しいと思っているカンチャン待ちやペンチャン待ちをドンピシャでツモしたり、ホンイツやチンイツといった染めている手で欲しい牌の種類がどんどん集まってくるような状態じゃよな。
それってツイてるってことですよね? ラッキーな状態というか…
確かに難しいカンチャン待ちをツモできるのは「ツキ」があると表現できるし、ラッキーと言うのは間違いではない。ただオカルト麻雀の本質は、そういったツキや流れを予測したりコントロールしようとすることにあるんじゃな。「流れがいいので、こう打とう」とか「流れが悪いからじっとしてよう」とか、自分の運の状況にあわせて変化させていく。
先に紹介した阿佐田哲也さんの言葉を引用する
麻雀を点棒のやり取りだとしか思えない人は永遠に弱者である。麻雀は運のやりとりなのだ。点棒の流通は誰の目にも見える。が、運の流通は見えにくい。だから多くの人が無視する
阿佐田哲也 ~Aクラス麻雀 (双葉文庫)より~
一生ツキ続ける男はいない。一生ツカない男もいない。誰にだって風の替わり目がある。そのきっかけを確実にキャッチし、ツキを一杯に使う、それがギャンブラーの腕なんだ
阿佐田哲也 ~ぼうふら漂遊記 (新潮文庫) より~
オカルトを否定的に言えば「じゃあ、どうやって使うのか?」という話になるじゃろう。いろいろな人がいろいろな方法でツキや流れをコントロールしようとする技を主張してきた歴史があるわけじゃが、正しいか間違えてるかはあまり検証されてこなかったのは事実かもしれん。調べようがないという場合もあったじゃろうな。
例えばわしが麻雀の必勝法として頭にキュウリをのせて麻雀をするとツモが良くなる! という「キュウリ麻雀必勝法」というのを提唱したとするじゃろう。きゅうりの生態エネルギーを頭から吸収することにより、アドレナリンが分泌される、どうこうとそれっぽいことを書くわけじゃ。
そんなの誰も信じないでしょう…
まあ、わしが言っても信じないじゃろうが、わしが麻雀のプロじゃったり、有名人だったりして、テレビや本を書けば中には信じる人もいるかもしれんよ。「マイナスイオン」とかの疑似科学も似たようなもんじゃろう。
わしのキュウリ麻雀必勝法と、阿佐田を比べるのは失礼な話じゃが、誰も正しいか間違っているのか検証しなかった。わしに表現力やカリスマ性があれば、もっと広まるかもしれん。
麻雀も格言みたいなものは多いが本当にあたっているのか間違っているのかは怪しいもんじゃよ。
相手の表情を見て判断したりするのもオカルト麻雀になるんですか?
わしはこれはアナログという言葉の方がぴったりくる気がする。テンパイしたら絶対にタバコを吸う人や、急に無口になったりする人がいたんじゃが、こういうのを麻雀の判断材料にするか? ってのは、麻雀に対する考え方の違いじゃないか。麻雀というゲームはあくまで卓の上の情報だけで競い合うというならば、こういった卓外の情報ははずれてくることになるわな。これは「アナログ」な情報として扱って、ちょっと「オカルト」とは意味合いが違うのかもしれん。
インターネットで広く情報が共有されいく現代では、さすがに「キュウリ麻雀必勝法」みたいな、根拠の乏しい露骨なオカルトが受け入れられることもうないじゃろう。プロレスでも、最近は「未知の強豪」みたいな人がいなくなったわけじゃよ…。昔は「密林から連れてきた謎の男」とか「正体不明のマスクマン」「地下プロレスの帝王」みたいなのがあったわけじゃが、今の時代、さすがにうさんくさくて誰も信じないじゃろう。
じゃあ今後はオカルト麻雀は衰退していくってことなんでしょうか?
肯定的に言えば、オカルト麻雀でも強い人はいるわけじゃよ。例えば東洋医学とか民間療法では、よくわからないけど「効く」みたいなものがあるわけじゃ。中には無茶苦茶なものも実際にあったわけじゃろうが、後の西洋医学や科学的な見地から見ても合理的で理屈の通ったものもあったと思うんじゃ。
オカルト麻雀の強い人で、いわゆる「経験」によって有効なことは知っているが、理屈を他人に説明できないケースもあるかもしれん。一流の人というのは、平均的なデータに収まるわけではなく、何かしら特異な点があったりするわけじゃから、そこに秘密があったりするのかもしれんな。
もう1点、オカルト麻雀を肯定的にとらえるならば、やっぱり独自のオカルト戦法がある人はキャラが立っているというか、華があるわな。時代が違ったわけじゃが、桜井章一さんにしろ、阿佐田哲也さんにしろ、エンターテイメント性があるという点、麻雀全体を発展させるという観点では、オカルト麻雀も悪くないと思うぞぃ。亜空間殺法とか、やろうとは思わんが見ている分には楽しませてくれる。
亜空間殺法ってなんですか?
お亡くなりになっておるが、安藤満というプロの方が得意にした戦法じゃよ。わざと無茶なチーやポンをして、ツモの流れを操るという技じゃな。ネーミングも素晴らしい。
面白そうですね。その亜空間殺法!
もちろん、基本やセオリーを理解したうえでたどり着いた場所なんじゃが、不思議にも思うし、見ている分には楽しませてくれるもんじゃと思う。興味があれば読んで見るといいじゃろう。
参考までにオカルトを代表するような麻雀本を紹介しておこう。
安藤満の麻雀 秘伝・亜空間殺法 (MYCOM麻雀文庫) 安藤 満 毎日コミュニケーションズ 2003-12 いま紹介した亜空間殺法の本じゃな。 |
最強麻雀オカルト戦法 (麻雀覇王ブックス) 日本プロ麻雀協会 毎日コミュニケーションズ 2003-05 |
実戦麻雀の急所―デジタルVSアナログ (新・麻雀覇王ブックス) バビロン 毎日コミュニケーションズ 2005-07 |
牌賊!オカルティ 1 (近代麻雀コミックス) 片山 まさゆき 竹書房 2000-10 |
最強麻雀 土田システム (マイコミ麻雀BOOKS) 土田 浩翔 毎日コミュニケーションズ 2007-11-23 |
なんかこうやって見ると「オカルトVSデジタル」の対立軸をうたった本も多いんじゃな。こういうのは麻雀界隈だけでなく、人類の普遍的な問題としてあるんじゃろう。幽霊がいるとかいないとか「日頃の行いがー」なんていい方は、流れを意識したもんじゃろうし。
次回はデジタル麻雀を紹介しよう。
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