鳴きの戦略(ポンとチー)

基本的なことは入門編の「ポンとチー」で紹介した通りじゃよ。「ポン」「チー」の行為そのものが意味がわからない場合は戻ってみてほしい。

初心者の諸君はポン・チーをすることで「リーチができなくなる」つまり「役がなくてあがれない」という状況に陥らないように注意してほしい。今回はもう少し突っ込んだ話をしてみよう。

メリットについては、もう想像はつくかもしれん。ポンやチーをする最大のメリットは完成までのスピードが早くなることじゃな。相手の捨てた牌をもらうことで、完成までの時間が大幅に短縮できる。

特にような、ピンポイントで引いてこないといけないような急所のカンチャン・ペンチャンを埋めるのはチーができるとかなり助かる。

安い点数でもいいから、あがって勝負を終わらせたい場合には、積極的なポンやチーが効果的じゃろう。



ポンとチーのデメリット

デメリットはあがった時の点数が低くなることですね。リーチもできなくなるし、食い下がりで役の価値が落ちたりします。

現代の麻雀はわりと「スピード」が勝敗を決する要素になっとるんじゃな。安い手でもいいから、とにかくあがって点数を稼ぐ。あがった時の点数の大きさよりも、あがった回数を重視する感じじゃろう。そのために、ポンやチーを使うわけじゃよ。

現代の麻雀はっていうことは、昔は違ったんですか?

そうじゃな。昔の麻雀と比べると、いくつか異なる要素がある。

まずは「東風戦」の影響が考えられるわな。

昔は「東南戦」の試合が主流だったので、長い時間でじっくりと腰をすえて麻雀をする傾向があったんじゃな。それが、試合が半分の「東風戦」が主流になると、ゲームがすぐに終わってしまう。点数が僅差でも勝敗が決まるので、とにかく安い手でもいいからあがる傾向が強くなった。

さらに赤ドラの影響も強いわな。これを持っているだけで、簡単に高得点が得られる。ちまちまと「チャンタ」や「ジュンチャン」などの役を狙い、リーチをかけるよりも、赤牌を抱えてポン・チーしまくって速攻であがっても、それなりに高い点数がもらえることになった。

こういう要素が現代麻雀のスピードアップに大きく貢献しているわけじゃよ。わしみたいな昭和麻雀世代からすれば、現代の麻雀は「節操がない」とかいった批判もあるわな。

そんなことがあるんですね…。赤牌入りの東風戦と赤牌なしの東南戦では、けっこうゲーム性が変わりますね。

確かに「赤牌入りの東風戦」と「赤牌なしの東南戦」では、どっちが良いという問題ではなく、ゲーム性がかなり変わるわな。

触れていなかった鳴きのデメリットで「守備力が低下する」というのがあるので、これは覚えておくといいじゃろう。

鳴くと守備力がさがるんですか?

ポンやチーした牌は、もう動かせなくなるわけじゃな。

    

これは3つ鳴いておる。スピードアップしてテンパイまで素早くもってこれた攻撃性はいいかもしれんが、反撃されると非常にもろいんじゃな。

ここで親からやばそうなリーチをかけられた! どうする?となった場合でも、仮に逃げようと思ってもじゃな

 この4種類しか選択がないんじゃよ。

降りることを選択しようと思っても、選択肢がないんですね。

ネット麻雀ではデータが見れるが

「副露率(フーロ率)=ポン・チーした割合」が高い人は
「放銃(ホウジュウ率)=ロンされる率」も高くなる傾向にある。

3つも、4つもポン・チーしている相手は、確かにテンパイしている可能性も高いわけじゃが、逆にこっちはリーチをやり返してしまえば、向こうはだいたい逃げずに突っ込んでくるので、仕留めやすくなるわな。

あがりに向かってポンやチーをしているので、どうしてもブレーキが効きにくい。結果的にロンされる傾向もあるので、自分が仕掛ける場合は覚えておくといい。

攻撃力があがるけど、防御力が下がるってのは微妙ですね。

このポンやチーもまた、上手い下手の技術差が出やすい要素ではあるんじゃな。上手い人は絶妙の仕掛けをしてくるわけじゃし、不必要に守備力を下げることしないんじゃな。

この「鳴き/食い仕掛け」だけでも、かなり奥深いジャンルなので研究の余地はあるじゃろう。

博士、たまに聞くんですが「絞り」ってなんですか?

「絞り/搾り/しぼり」とは、主に字牌などをわざと捨てないで自分で抱え込むことじゃな。

自分の手の中に1枚だけある
などを序盤に捨てないで、ずっと持っておくことを「絞る」と云う。

1枚だけ持っていても、自分に使い道はさほどないんじゃが、それでも持つんじゃな。

なんのためにやるんですか? 相手にポンされないようにってことでしょうか?

そうなるわな。ポンされると相手がスピードアップしてしまうので、相手の手を遅らせる効果があるといわれている。字牌だけでなく、相手がほしそうな牌をポンさせない、チーさせないという戦略はある。

ただし、けっこう字牌のしぼりについては議論のまとになることもある。結局は相手のスピードを遅める効果があるが、自分の手も遅くなってしまう要素があるからじゃな。「意味はある」派と「しぼりは無意味」派にわかれたりする。無意味とはいわんけど、そこまで効果あるのか?って議論じゃな。

これもちょっとアタマの中に入れておくぐらいでいいじゃろう。


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